狼先輩。


……あぁ、やっぱり部活休めばよかったかも。


嫌だ、なんか帰りたい。




ぎゅっと拳を握り、下を向く。




そのとき。



誰かに手首を掴まれて、ぱっと顔を上げると、それは西村くんで。



「西、村……くん?」



西村くんは、近くにいた副キャプテンの松井先輩に、



「先輩、マネージャーが体調悪そうなので一度部室に連れて行きます」



と言って、松井先輩の返事も聞かずに、私の手首を掴んだまま歩き出した。


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