狼先輩。
なかなか差し出した手を掴まない私に痺れを切らしたのか、彼はしゃがんで、私の顔を覗き込んできた。
「……!」
ドキリ、胸が高鳴った。
何ですか、このお方。
本当に王子様じゃないですか!
顔も極上じゃないですか!
通った鼻筋、切れ長の目。少し薄めの唇。
ダークブラウンの髪を少しだけ跳ねさせている。
ま、まさに王子様っ!
身長も高いし……。
一体何cmあるんだろう……。
そんな私の目の前にいる王子様は、私のことをじぃーっと見ている。
な、何ですか!
そんな綺麗なお顔で私をガン見しないでくださいよ!
「顔、赤いよ?」
「…っ」
王子様はふっと笑うと、再び手を差し出してきた。