狼先輩。

「立てる?」

「…はい」


差し出された手をとり、立とうとすると膝にズキリと痛みが走った。


「っ」


痛みに顔を歪ませると、


「怪我してるみたいだね」

と王子様が心配そうな面持ちで私に言った。



「まぁ、それもそうか。こんなアスファルトの上で転んだんだもんね」


王子様は少し間を空けると、


「じゃあ保健室行こうか」

ニコッと笑い掛けてきた。

「…はい、ありがとうございます」


保健室に連れていってくれるんだ……。


まだ入学して間もなくて、あんまり校舎内を把握していないから助かるな……。


優しい人だ、この人。


やっぱり王子様だ。


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