狼先輩。

固く閉じていた目を開ける。


と、恥ずかしさからか、涙が目に浮かんで。



「……ことりちゃん、今……なんだかすごく扇情的だよ」


「……っ」



目の前にあるのに、キスしてくれないのがなんだかもどかしくて。



「ほら……言って?」


「……キス、してください」



恥ずかしいよぉ……。


「……よく言えました」


「んんっ……」



大神先輩は、甘くそう言うと、優しく私に口付けた。

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