狼先輩。
すると、
「はぁっ…、ことりちゃん」
背後から声が聞こえた。
振り返ると、そこには息を切らしながらユニフォームで、汗を拭っている大神先輩の姿が。
「もう走り終わったんですか!?」
「うん」
先輩は爽やかに笑う。
これが世で言う“汗も滴るいい男”……ってやつ?
カッコいい…。
思わず先輩に見惚れているうちに、他の部員達も次々と走り終わっていった。
みんな息を切らしている。
「はぁっ、先輩速すぎますって…」
「はぁ……はぁっ、あんなの勝てやしないですよ」
そんな部員達に対して、
「でも、俺もこんなに本気で走ったの久しぶりだよ」
と笑った。