狼先輩。
何で、こんなにドキドキしてるの、私。
胸に手を当てるとすごく鼓動が早い。
――ドンッ!
「きゃ!?」
「わ、ごめんっ」
誰かにぶつかって転びそうになった。
……けど、その誰かが私の腕を掴んで引き寄せたから転ばなかった。
誰……?
この声は、先輩じゃないし……。
目を開けると、そこには西村くんの姿が。
「あ、西村くん…あ、ありがとう」
ちら、と掴まれた手首を見ると、西村くんは、
「あ、わ、悪い!」
と、慌てて腕を離した。
西村くん、顔真っ赤……。