平穏な愛の落ち着く場所

2.


崇はあれから色々考え計画を立てたが、
まだ実行には移せていなかった。

抜かりなく向こうの了承も得たが、
渋々だったのが崇を躊躇わせていた。

あの人は……和田祥子《わださちこ》は
母親も同然だ。

母が加嶋を出ていく時、ついて行かなかった
理由の一つが彼女だった。
母親よりも母親らしい彼女といる方が
崇には幸せだったのだ。

長く加嶋の家で働いていた和田は
崇の成人を機に退職し、今の職に至る。

どうやら彼女は、千紗にとっても同じ存在に
なりつつあるようだ。

呼び出し音が鳴り、秘書が冴子から電話だと
告げた。




< 47 / 172 >

この作品をシェア

pagetop