RUNA戦記Ⅲ~水晶宮に眠る竜~
ソラ、トボケルシカナイ。
ゲルブは、魔力を持つものを恨んでいるのだから。
「っていうか、闇の中でも花って咲くんだね」
「うつけ!闇の中に花なんかが咲くかよ!!」
そう吼えて、ゲルブはルナに毛皮のベストを放ってきた。
「きゃっ」
ベストが顔に直撃する。
「それ、やるよ。お前が今の恰好だと俺、死にそうだから」
ゲルブは、顔を真っ赤にして、ルナに背を向けた。
ルナは今の恰好を見る。
白いキトンが、水に入っていたせいで濡れ、透けているから下着が見える。
「………」
ルナは黙って、ベストに頭を通した。裾が、膝までのベストは、ゲルブがけがしたときも着ていたから、背中にも胸にも穴がある。結局は、あまり変わらなかった。