夏と秋の間で・甲
「ありがとう。その言葉、お世辞でも嬉しいよ。」



 そう言って笑顔を向ける大場さんは、やっぱり美しく可愛かったが、まだ心のどこかで先輩のことを引きずっているのだと思うと、切なく見えた。



「別に、お世辞とかじゃないんだけどな・・・。」



「フフフ・・・。どっちにしたって、別れたんだから、一緒だよ。」



 確かに・・・・・。



「そだね。」



 そうとしか返すことができなかった。



「ホント、今まで色々ありがとね。私には斉藤君がいてよかったよ。」



 でも、そんなボキャブラリーのない自分の返答にも大場さんは笑顔を向けてくれた。



 そんな、大場さんの笑顔は本当に可愛らしくて、綺麗で・・・・・・。



 でも、だからだろうか・・・。



 その顔を見ていたら・・・・・なぜか・・・・・・とても亜紀に会いたくなった・・・・・・・・・・。


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