しーくれっとらぶ
「急に大きな声を出してごめんなさい…。けどわかってほしいの。…龍の可能性を潰さないで…」


さっきまでのSARAさんの勢いはなくなり、消えそうな声でSARAさんはそう言った。

きっとSARAさんは龍が好きなんだ。

あたしはそう感じた。

そしてギターを弾いている龍が本当に好きなんだろうなって思った。

だだの妬みや嫉妬じゃなくて、真剣に龍のことを考えて話しているんだ。


『…………』


あたしはますます何も言えなかった。

龍を想う気持ちはあたしもSARAさんに負けない。

だけど龍に迷惑をかけていることは明らかだって思う。


「…とにかく、龍の仕事のことをちゃんと考えて」


SARAさんはそう言うと伝票を持って席を立ち、お金を払って喫茶店を出て行った。



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