シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
無視していれば、それらはすぅっと消える事が多い。
しかし鏡の中の女は、なかなか消えない。
何か言いたげに、こちらを見ていた。
怖くはない。そんな悪い怨霊じゃない。
だけどやはり、気味は悪い。
あたしはいつもするように、心で念じた。
『あたしには何もしてあげられません。
あたしには、何の力もありませんから。
どうぞ、お帰りください』
普段その辺に浮いてて、すりよってくる霊は、
何かをあたしに求めているようだ。
だけどあたしは、ただ見えるだけ。
普通の(?)女子高生だもん。
除霊とか、成仏させるとか、そういうのは、ムリ。
納得したのか、鏡の中の女は、
悲しげな顔のまま薄くなり、消えた。
ホッと胸を撫で下ろす。
もう、やめてよね。
今日は、大事なオーディションなんだから!