鯖を読んでる転校生=社長!?
好きな人と同じ家に住む。

こんなにも素敵なことなのに。

素直に喜べない自分。

こういう所でもあたしは最低さが滲み出てるのかな・・・。

自己嫌悪を通り越して漠然とする。

言わなきゃ・・・見られてたこと言わなきゃ・・・光河に・・・。

そう考えると何かに押し潰されそうになる。

「ゅわ・・・ゆわっ」

「あ、」

光河があたしの額に手を当てた。

「熱下がらないな」

どーやら光河はあたしがぼーっとしているのを熱のせいだと思ってるらしい。

熱のせいもあるけど・・・それよりも・・・。

「大丈夫か?」

「・・・・あのね」

こんなに心配してくれる光河に隠し事とか悩みを話さないとか出来ない!!

・・・でも・・言ったら光河は困っちゃうかな・・・・。

あのねと言い出したその先が言えない。

風邪でうまく声も出せない。

光河には"あのね"が聞こえたのか・・・。

光河と目が合ったまま逸らせない。

変な空気が漂う。

変な空気だと思ってるのはあたしだけかな?

光河はさっきのあたしの声聞こえてないのかな?

心配してあたしを見てるだけ?

どっちかわからずとりあえずお互い見つめあったまま。

先に反応を示したのは光河だった。

あたしの頭を撫でる。

"何かあったんだろ?。でも今は風邪治して"

その手からなにか伝わってくるような気がした。

あたしは旬の事を話すのをやめた。

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