夢花火

いつもの日々






「ヤァァァーー!!」


学校の道場に、今日も気合いの入った声が響く。


「一本!勝者、松林!」


後ろに下がり、礼をする。


「ありがとうございました!」


自分の席に行って、面を外し、タオルで汗をふく。


こうやって、毎日剣道をやるのが大好きなんだ。


「松林先輩、すごいです!さすがです!」


「去年の全国大会で優勝したんですよね」


「うん、でもまだ全然だよ。ありがとう」



そんな声が、よく耳に入ってくる。



…いつものことだ。聞き慣れすぎた。



「じゃあ私は、これで」



時計を見ると、もうとっくに部活が終わる時間だったから、帰る支度をすることにした。

そんな私を見たほかの部員も、わたわたと準備を始める。




「…なんか松林さんって、そっけないよね」


「だよねー…。楽しいのかな」



これも、いつものこと。


でも、私は私。


剣道が楽しいのは当たり前。


そう自分自身が思っているのだから、他人に何を言われても気にしない。



< 2 / 345 >

この作品をシェア

pagetop