夢花火
「あぁ、八木邸か。千春、新撰組が好きなのか」
その質問に、笑顔で答えた。
「うん、好きだよ。新撰組」
そして、中に入って行く。
ここの空気を、吸った事がある。
あの桜の木も、いつか見た事がある。
ここで、あの人に会った気がする。
よく分からないけど、懐かしい。
…あの人に、会いたい。
建物の中を一通り見た後、私はお父さんとお母さんに声をかけた。
「ちょっと行きたい所あるから、ここで待ってて」
「一緒に行こうか?」
「…いや、いい。一人で行きたいんだ」