君にすべてを捧げよう
『蓮……蓮……、好き……』


求められる幸せに、何度も想いを口にした。
果てる時が来ても、蓮はそれに応えてくれなかったけれど。


夢のような行為のあと、あたしは泥のように眠りに落ちた。
躰の節々が痛み、高熱にさらされた頭はずきずきと痛んだけれど、幸せだった。


けれど、その眠りから覚めた時には、蓮はいなくなっていた。
家の中にも、離れにも。
離れからは、愛用のパソコンや着替えなどもなくなっていて、蓮があたしが眠っている間に出て行ったのだとすぐに分かった。


『どうして……?』


胸元にも、太腿にも、蓮が残したキスマークが散らされている。
いなくなってしまうなら、どうしてこんなことしたの……。



蓮の本意が知りたくて、翌日、あたしは痛みを訴える腰を騙しながら蓮のマンションまで行った。
その夏の最高気温に近づく、酷く熱い日だった。


あたしの訪問を、蓮は予測していたのだろう。
ドアを開けて、ため息をついた。


『ごめん、ここまで来て、迷惑だった?』


迷惑だってことは、顔つきを見ればすぐにでも分かったけれど、だからといってどんな顔していいのかわからなくて、へら、と笑った。


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