君からはもう逃げられないっ!!



その凄絶な美貌の持ち主は何もなかったかのような顔をし淡々と冷たい一言だった。

相手の女子生徒に同情するくらいに彼は無表情で、「困った」と言いたげな表情もしてない。


「泣いてました……あの女子生徒」

「可哀そうだと思った?」

「……少しだけ」

「そっか……」


どこまで穏やかで優しく、頭を撫でたこの人――

サクラ先輩。


季節に例えるなら春。

花に例えるなら桜。

色に例えるなら、何色にでも染め上げられる白。

そんな風に思わせるような凄絶な容姿。

長身に性格もいい上に

老若男女問わず人気。


おまけに言えば、彼は我が高初、99%の支持率を得て、現生徒会長になったお方だ。

そんな彼がモテないはずがなく……。現に一日5回くらい告白されている。

つまり、よくモテる。






そして、わたしはといえば……、


「何の気もないのに優しくするのは相手に酷だから。それが好意なら尚更ね」

悲しげに微笑む先輩に、どう対処していいのか分からないわたしだった。

「……」

「……っそんな顔しないで? 君が悪いわけじゃない。自分が悪いんだからさ」


ねっと、微笑む先輩にわたしは、つくづく優しい先輩なのだと思う。

その美しい微笑みは、何千億と積まれても買えない価値のある笑顔だと言えるくらい温かくて眩しかった。

まるであの時の笑顔みたいに――。








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