瞬きさえも忘れていた。
「そうですね。もう何とでも言ってください。どっちにしたって私はもう、岩本さんのことは諦めてますから。って言っても、どうせあなたは信じないでしょうけど。

お腹が大きくなってきたら、ご両親だって認めないわけにいかないんじゃないですか? 心配しなくても、近いうちに籍入れられますよ。これが私の本音です」


投げ遣りな気持ちになった。

もうどうでもいい。本当にうんざり。



「だからもう私のことは、ほっといてくれませんか?」


陽奈乃さんを、半ば睨みつけるように見据えて言い放った。



彼女は物怖じしたように押し黙り、まじまじと私を見た。



けれどしばらくして、

「お腹なんか大きくならないよ?」

可愛らしく小首を傾げて、それがまるで当たり前のことみたいに涼しげに言った。



「えっ? それはどういう……」


「だって嘘だもん」


「う……そ……?」


「そう、嘘だよ? 妊娠なんかしてない。避妊してたのにするわけないじゃん。なのに信じちゃって、バカみたい。達志も、あんたも」


< 166 / 255 >

この作品をシェア

pagetop