星の輝く夜空の下で
それから星夜は春実の家に向かった
窓を叩くと春実は気づいた
「星夜くんどうしたの?」
「実は、春実ちゃんには話しておきたい事があって…」
「何?」
「俺、もうすぐ消えそうだ」
「え…?なんでそんな急に?」
「記憶の戻るスピードが急激に速くなってる。だから…」
「それ、夏芽は知ってるの?」
星夜は首を横に振った
「なんで言わないの?」
「…ねーよ」
「え?」
「いつか、消えるって分かってるくせにあんなこと言われたらもうすぐ消えるなんて言えねーよ」
「…でも」
「俺さ、自殺したんだ」
「え…」
「正確には未遂か。ひかりって女を追いかけて病院の屋上から飛び降りたんだ」
「ひかりって女は死んだの?」
「うん、多分。そこまでしか思い出せてない」
「そうなんだ」
「俺はきっとひかりって女を愛してたんだ。泣きながらひかりを思いながら飛び降りたんだ。記憶が戻れば戻るほど俺はひかりに近づく。夏芽を忘れそうなんだ」
「そんな…やっと両思いになったのに」
「そうだな…。だからもし夏芽に会う前に消えてしまったらいって欲しい事がある」
春実は星夜の伝言を受け取った
「うん…。分かった」
「ありがとう」