星の輝く夜空の下で
第三章

彼女



朱子が天国へ行ってから三日たった朝


「夏芽!!元気になった?」

「おー。バッチリ」


夏芽はあの後、春実に家まで送ってもらった
それくらい動けなかった
そして寝込んでいた


「ごめんね、夏芽。お母さん幽霊見えること知らなかったんだね」

「別に大丈夫。見えなくなったって嘘ついてただけだし」


春実は夏芽のお母さんに幽霊成仏させたら疲れて寝たと言うのをいってしまった
最初は幽霊がまだ見えることを黙ってて怒っていたが
人間の友達が家に来たのは初めてだったのでまた家に連れてこいと喜んでいた


「今度さ、家に来ない?」

「え、家に行って良いの?」

「いいよ」

「やった!!行く!!」


何をお裾分けしようか春実はルンルンしてた


ちっぽけなことで嬉しくなる春実を見て夏芽は笑いをこらえた


「何で笑おうとするの?」

「嬉しそうだなって」

「へへっ、そう?」


最近、夏芽は笑うことが増えた
そのせいか今までのように台風が来ることはなく笑っても雨が降る程度の天気になった
夏芽は梅雨だからと未だに自分のせいではないと言い続けてる
春実に出会ってから夏芽は性格が明るくなった
朱子が成仏してからはもっと…


そこに星夜がやって来たことに気づいた春実は窓の外に向かって手を振る


「あ、星夜くん」


夏芽は振り返る


「あのさ、聞きたいことがあるんだけど」


星夜は夏芽に向かって聞いたが夏芽が返事する前に春実が口を開いた


「星夜くん、何で夏芽って呼ばないの?」

「え!?」


星夜は目が点になった


「こないだ、夏芽って呼んでたじゃん」


夏芽は記憶に無いことだったので驚いた


「嘘!!いつ!?」

「知らねーよ!!つーか今関係ねぇだろ!!」

「夏芽が窓から落ちそうになった時に夏芽!!って♪」

「余計なこと言うなよ!!」

「あたしを守るために…」


夏芽はときめく素振りをした


「だーもー帰る!!」

「あー!!ごめんごめん!!用件なに!?」


星夜はふてくされながら言おうとしたら授業の始まる鐘の音が鳴り響いた


「…ごめんなさい」


春実は余計なことをして話す時間を削ったことに反省した


「いいよ、授業中あたしに話かけてよ。ノートに答え書くから」


授業が始まった


「あのさ…俺、少し思い出したことがあるんだ」


記憶が戻ったの?

と何故か春実がノートに書いて見せてきた
端から見ると夏芽にノートを向けてるように見える


「いや、思い出したのもすごく曖昧で…こないだ朱子ちゃんが言ってた『大好きだよ。天国で見守ってるから』って台詞を誰かに言われたことがある気がするって程度で…」


それでも十分、進歩だと思うよ!!

とまた星夜にノートを見せた


「柚木…」


春実は声のした方を見た

先生だった


「柚木…浅岡にノートを見せて何が楽しいんだ?面白い絵でも書けたか?」


笑われた


夏芽は小声でばーかと呟いた

春実はふてくされて寝る体制になってしまった


夏芽は星夜の疑問について考えた

今まで記憶が戻ってきたなんて話を聞いたことがなかった
でも、本当は過去の幽霊も記憶が戻って来ていたとしたら…


記憶を全部思い出したら何かがあるのかも


とノートに書いた


今までみんなが突然消えてしまう事とつじつまがあってくる


しかし何が起きるのかは全く分からない
まだ謎は隠されたまま


夏芽がわくわくしてるなか、星夜はしかめっ面をしてた


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