星の輝く夜空の下で
「鈴風さん彼氏出来たの知ってる?」
「嘘⁉」
「聞いたら年上で紳士でしかもイケメン」
「鈴風さんすごいな」
「あたしも彼氏欲しいよ〜」
春実が星夜を気にしていた
「星夜くん来ないね。いつもならもう来てるのに」
夏芽も少し気になっていた
まだ怯えてるのかも…と
記憶を思い出すのが怖いとつぶやいた星夜が頭の中をよぎる
夏芽は春実に聞いた
「もし、自分に記憶がなくなったらさ、あたしは記憶をかき集めて必死で過去の自分を取り戻したいって願う気がする。だけどそうじゃない人っているのかな」
春実は少し考えて答えた
「そりゃ、記憶がすべていいモノとは限らないじゃん?嫌な記憶まで蘇りそうで怖くなる時はあるんじゃない?知らないままの方がいい事っていっぱいあるからさ。新しい記憶のまま過ごした方が幸せな時もあるよね」
夏芽はやっと気づいた
5歳の時の事故
記憶にほとんどなくてお母さんが事故の話もしないのは夏芽が怖くなって怯えた生活をしないために何も言わずにいてくれてるのかも、と
どんな時も一番の味方で
世界中が敵で溢れてても
夏芽が生きていれたのは
お母さんと成仏した朱子がいたからだ
それに気づいたのは
気づかせてくれたのは星夜だった
小さな星の光も
世界が少しだけ輝いて見えたのも
星夜がいたからきづけた
星夜が今不安なら支えてあげられるのは
自分しかいない
夏芽はそう思い立ち上がった
「夏芽?」
「ごめん、さぼる」
「え?」
夏芽は駆け出した
「夏芽⁉」
辻本は教室を出て行く夏芽を呆然と見ていた