ある小説家の苦悩
……一体この人は何をしたいのだろう?

何を訴えたくて小説を書いているのだろうか?


私はため息をつくと、原稿を彼女に差し出しながら言葉を繋いだ。


「すみません…。そういうことでしたら、ちょっと私には、アドバイスできそうにありません」


彼女はあからさまにムッとした表情になった。


「あっそっ。じゃあもう良いよ!」


原稿を奪い取り、投げやりにそう言葉を発すると、そのまま運ばれてきたパフェをムシャムシャと頬張る。


気分を害したことを、隠そうともしないその態度に私自身もムッとした。


我ながら子どもじみていると思いながらも、わざと音を立ててオレンジジュースを吸いあげる。


その後の会話はまったくなかった。


ジュースを飲み干したのと同時に、先に私が席を立ち、自分の分だけ会計をして店を後にした。


とても不毛で、無駄な時間を過ごしてしまった。


恩師に今日のことを、どのように報告するべきか……。


正直、気が重い。
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