あの空の音を、君に。



私がそんな風にさまよっていた頃、里麻はだんだん壊れていった。


いや、それが本当の里麻だったのかもしれない。


一言で言うと、男好きになった。


『男子なんてやだよー』

と嘆いていた里麻はどこかへ消えてしまった。


今は、里麻が自ら話しかけに行くくらい。

クラス内の女子とはあまり話さないのに、男子に話しかけられたら、とびっきりの笑顔で答えていた。



彼氏とうまくいったのか、別れてしまったのか、私は何も知らない。


噂だけど、里麻の恋愛事情に巻き込まれている男子が多いっていうのを聞いたことがある。


でも、日に日に里麻の周りにいる男子が増えていったのは間違いない。



夜、コンビニへ寄ったとき、里麻が見知らぬ男子とくっついて歩いていたのを見たことがある。



――伊月のこと好きなんじゃないの?

――彼氏とはどうなってるの?



里麻にききたいことは山ほどあった。

でも、里麻が放つオーラに、私は拒絶されていた。


< 106 / 315 >

この作品をシェア

pagetop