禍津姫戦記
 姫夜は目眩をこらえるように眼を閉じた。
 カツラギの一族はカツラギ山のすそので、大きな力を持ちつつある豪族の名だった。が、むろん姫夜は知らぬ。

「――目指す敵の名は?」

「キビの王、イズモの王、そしていずれはその先にいるヒュウガのモモソヒメだ。今はまだ直接攻め込んできてはおらぬが、あまたの西の王を次々と平らげ、女王として名乗りをあげたと聞く」

 姫夜は愕然とした。
 モモソヒメはすでにヒュウガの女王と目されているのだ。
< 16 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop