禍津姫戦記
 だが、この戦神のような若者の表情は、怖れなど微塵もなく、生き生きとしている。
 みすみす滅ぼされるのを待っているわけではなさそうだ。
 姫夜は凛とした声で云った。

「占は神のことばだ。一度占えば、大なり小なりそなたの運命は占に縛られることになる。どんな結果が出ても悔いぬと誓えるか」

 ハバキは、深く澄んだ瞳でじっと姫夜をみつめた。その口もとに不敵な笑みが浮かんだ。

「悔いたりなどせぬ。何故かはわからぬが、そなたは信じられると俺は思う。そして俺は俺の直感を信ずる」
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