禍津姫戦記
 白い革の略式の鎧をつけた姿で、馬にのり、それにクラトが続いた。
 だが姫夜のほうはそうはいかなかった。童のように袴で歩きまわることは禁じられていた。きらきらしい冠こそつけておらぬものの、かわりに碧玉のついた飾り紐を額に巻いている。長い裾を引いたきものの上に、さらに長い絹の衣をかぶって、輿(こし)にのせられ、そのまわりを若い兵士たちが固めた。
< 267 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop