禍津姫戦記
 いつの日か、千も万もの馬を並べ、モモソヒメと対決する。姫夜はハバキの目を通して、あの緑の草揺らぐ幻の丘の光景をまざまざと見た。

(そのとき、俺のとなりにいるのはおまえだ)

 姫夜はハバキの声なき声に貫かれ、カッとからだの芯が熱くなるような気がした。

「王の秘密はそうやすやすと明かせるものではない」

 ハバキは笑った。
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