禍津姫戦記
 翌日から三日ほど滝のような雨に降り込められ、姫夜たちは佐古田の館から身動きできなくなった。
 雨のあいだ姫夜は、古老たちが語る、村に伝わる古き言い伝えに耳を傾けた。それを手がかりにひとつひとつカミをたずね、祀り直すのである。
 年寄りの話は、記憶を縦糸に、昔話を横糸にして、妖しい絵物語となり、かなりのほころびがある上、すぐに脇へ逸れるので、なかなかに根気の要ることであった。
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