禍津姫戦記
村人の話ではその杉は小さな山をひとつ越えたあたりにあり、馬でいけば一日でたどりつけそうだった。
姫夜が館の前でイザヨイの鞍に荷をくくりつけていると、二頭の馬の足音が聞こえてきた。ハバキとヤギラだった。
ハバキはめずらしく目の下に青黒いくまをこしらえて、衣は泥だらけで髪は束になってもつれ、不機嫌そうな様子だったが、姫夜を見てすぐに質した。
姫夜が館の前でイザヨイの鞍に荷をくくりつけていると、二頭の馬の足音が聞こえてきた。ハバキとヤギラだった。
ハバキはめずらしく目の下に青黒いくまをこしらえて、衣は泥だらけで髪は束になってもつれ、不機嫌そうな様子だったが、姫夜を見てすぐに質した。