禍津姫戦記
 姫夜が当惑したように目をしばたいた。ヤギラが憤慨したように云った。

「昨日の大雨で、ハバキさまはカツラギ川の堤が破れぬよう、この里の者たちに土塁を築く指揮をしておいでだったのです。一晩中、あれほど大騒ぎで出入りしていたのに――姫夜さまはお気づきにならなかったのですか」

「それは……知らなかった」

 姫夜は赤くなった。
< 293 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop