禍津姫戦記
 占を立てていた頃だろう。雨の音に紛れて気づかなかったのだ。
 ハバキは喉の奥で獣のようにうなった。

「幸い堤は破れなかった。なにも問題はない」

 姫夜は慌てて云った。

「ハバキ、こたびはわたし一人でもかまわない。よこしまなものは感じられぬし、悪い卦も出ておらぬ。今宵はおそらく木の前で夜明かしすることになろうから、ハバキは無理せず、佐古田どのの館で休んでくれ」
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