禍津姫戦記
 やわらかな声は低いまじないの歌のように、とろとろと姫夜を包みこみ、ここではないどこかへ、連れ去ろうとしていた。今やどこまでも続く底のない闇さえも柔らかさを帯びて、あたたかく、慕わしかった。
 姫夜はうっとりと眼を閉じ、かすれた声で問うた。

「母上……そのクニは、どこに……?」
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