禍津姫戦記
「この鍋を見ているのはたれじゃ。アゲハ、おまえがほってきたイモはどうした?」

「はいっ、まだ洗ってなくて」

 髪をひっつめにした、目もとの涼しい小柄な娘が素っ頓狂な声をあげた。

「なにをぼやぼやしている。もうすぐ腹をすかせた若い衆が帰ってくるよ! さっさと川へいって洗っておいで」
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