禍津姫戦記
「仕えろと云ったおぼえはないぞ。当分のあいだは客人(まろうど)ということにしておいてもよい。そなたがこの里の暮らしに慣れるまで気長に待つとしよう」

 ハバキがあっさりと杯をひっこめたのを見て、那智が驚きを隠せぬように云った。

「これはこれは、杯を断った相手を殴らぬハバキさまを、はじめて見ました」

 ハバキは那智を睨んだ。

「余計なことを云うな。それではまるで蛮人ではないか。客人をおびえさせてなんとする」
< 44 / 647 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop