溺愛MOON
「そ、そんなことないよ」

「ふーん」


そうは言っても環境に順応して行くのが人間というもので。

さっさと他の仕事を見つけてこの島を出て行くつもりなのに、ちっとも就職活動も進んでいない。


かぐやに傾倒して、そのことで時間を潰してやらなければならないことを先伸ばしにしている。


かぐやはいつまでもここには居ないのに。

迎えが来たら帰ってしまうのに。


私は何をやってるんだろう。


「メロン」

「えっ!?」

「カキ氷。メロン味にして」

「えっ、メロンはないよ! イチゴだよ! カキ氷っつったらイチゴでしょ!」


あの日、私はかぐやを拒絶した。


私が拒絶したかったんじゃなくて、かぐやが拒絶して欲しがっていると感じたから。
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