放課後センチメンタル


「……『Ring』はね、」



ガシャン、と鈍い音がして落下防止の金網が少し揺れた。

彼女がグラウンドに背を向けるようにして金網に身体を預ける体勢になったからだ。



「いつも暁が聴いてた曲なの。私は歌詞とか意味とか全然分からないまま聴いてたんだけど、暁は英語得意だったから本当に好きで聴いてたんだと思う」

「……椿さん、」



言いかけて、どうしようか迷った。

彼女は文系が苦手で、ただメロディーが気に入ったから聴いていて、それで充分だと言っていた。


ーーでもその曲は。

大切な人との繋がりを示すであろう大切なもののはず。


彼の好きなものを知りたいと思うことは普通じゃないのかな。

パソコンでも携帯でも使えば簡単に分かるものをどうして、と僕は思ってしまったのだ。

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