ソラナミダ




昼になると……、



私はすぐさま、席を立った。




美帆と話をしたい。



今、自分が置かれているその状況を……



どうにかして、知りたかった。




……なのに。




「…ああ、美帆なら外にランチしに行ったけど?」



「……。そっか、ありがとう。」




見事にすれ違い。



たまたまなのか?


それとも、


意図的なのか……?






「………。カップ麺でも食べるか……。」




常備しているカップ麺が、虚しい昼食タイムのメインへと……


決まった。








給湯室で……


ポットのお湯を入れる。




いつもなら、この場所が……



女子社員の、憩いの場となる。




美帆がいるだけで。


この、日当たりのない薄暗い部屋が……


明るくなる。




彼女がいないこんな時に。

タイミング悪く蛍光灯がチカチカして……
いつもの倍くらい、暗くて……


居心地が悪かった。




コーヒーをひと口飲んだ所で…



「……平瀬。」



不意に……


誰かに名前を呼ばれる。




「…ちょっとこっちにいいかな。」



「……はい。」





待ち焦がれていた声。


出来れば聞きたくなかった声。





その人、博信は……




私を、一瞬だけ…。




光のある場所へと、導いた。








やって来たのは喫煙所。



普段タバコを吸わない私は、入りがけに……



少しだけ、咳込む。




「…付き合わせてごめん。」



そう言いながら。



既に二本めとなるタバコに…火をつける。



ガラス張りの密室に二人きり。



会話は……




ない。




「……あの……」



口を開きかけたその時…





「……ごめん。」



思いがけない言葉が、


博信から飛び出した。



「……え?」



「……ちょっとパタパタしてて、声も掛けられなくて。わこ、気にしてるんじゃないかって思って……。」



「…そんなの、全然……。」




謝ることはあっても。
謝られることは……ひとつも、ない。



「…なら…、いいんだ。…寝坊だなんて、らしくないな。昨夜…遅かったのか?」




……昨夜……。






「……ううん、そんなことはないんだけど…。」



博信の顔が……
見れない。


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