レベル・ラヴ
 白い布の道の先に、男が立っていた。
 その前に進む。

「素晴らしい日に相応しい天気になりましたね」
「はい」

 男に話しかけられ、笑顔で返事を返しす。

 今日は一生でそう何度もない特別な日だ。

 柔らかい風が辺りの花を揺らす。
 彼女の好きな花ばかりを集めて、辺りを飾らせた。
 きっととても喜んでくれるはずだ。

 少しだけ待っていると音楽が聞こえてきた。

 白い布の向こうに、彼女の姿が現れる。
 美しい白いドレスに身を包んだエレーナは素晴らしく愛らしかった。

 エレーナを寮に迎えに行って色々あった後、2人で本心を話し合った。
 信じられないことに、彼女も恋に落ち、オレを愛してくれていたのだ。

 エレーナは書類上は正式にオレの妻となった。
 しかし、身分的に書類だけですませられる立場でもなく、今日は一族に妻であるエレーナを紹介するのだ。

 当然一族からの反対はあった。
 だが、恋に落ちたことを知ったとたん、何も言われなくなった。

 恋に落ちた者がどうなったか、今までの歴史が語っている。
 それに当主である兄がエレーナを受け入れることを認めたのだ。
 一族は当主に逆らうことはない。

 恥ずかしそうに笑うエレーナが近づいてくる。
 そんなエレーナに向かって手を差し出す。

 恋に落ちたオスはその相手のメスだけを永遠に愛し続ける。
 もちろん、浮気なんてしない。
 恋に落ちるということはそういうことなのだ。

 だからオレもエレーナ以外に求めることはない。
 馬鹿な男かもしれないが、たった一人を愛することが出来る自分が誇らしくさえ思える。
 
 これから一生をかけて、エレーナを幸せにするのだ。
 
 エレーナがいつまでも笑顔でいられるように・・・・・・。

 
 
                   - END -
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