〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 時間は過ぎていき、

 ぴぃ~♪

「集合。」

 監督のもとに走る。


――いよいよ試合が始まるんだ。――

 試合に出たくない思いがある。いや、出たいという思いもある。
 珠理の頭はもやもやしている。

『お願いします。』

「さてと、今日はこうしよう。

 ゴールキーパーは珠理。」


――指名された。――

 こんな状況でも出してもらえるなんて、喜んでいいのか。

 珠理は一瞬、目の前が真っ白になった。


 ゆう乃はここ最近調子を上げている。成長している。

 一回戦はゴールキーパーを務めてたし。

 ゆう乃の成長を奪ってるかもしれない。

 珠理はそんな気がした。

 
 監督が決めたなら仕方ない。

 先発メンバーを聞き終えて、基本フォーメーションを聞いて、

『はい、ありがとうございました。』


 スポーツドリンクを一口飲み、

「とっきー(望海)、ヘアバンドつけてくれる。」

 水色のヘアバンドがついて、準備完了。



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