〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 ここで、ドルフィンガールズ最後の交代枠を使う。

 リエに代わって、佳恵だ。


 
――よっしーっていうことは、PKを考えているんだな。――

 佳恵が唯一得意なこと。
 PK戦で確実にゴールを決めること。

 珠理はこれまで幾度の佳恵のPKを止めようとしたが、成功したことがない。

 なぜ佳恵のPKを止められないのだろう。それが不思議だ。

 待てよ、PK戦の時に交代枠をすべて使い切ってなければ、交代は可能だ。
 投入の目的は、他にもあるはずだ。


 佳恵が入った後、ドルフィンガールズのゴールキックで再開した。

 これが最後の攻撃だと珠理は決める。
 最後こそ、決めたいところ。

 肺の中にあった二酸化炭素をすべて吐き出してから、蹴った。
 ただ、あまり力が入らず、センターラインより二メートル手前にボールが落ちた。
 しかも、サイドラインの外に出ている。

「ごめん。」

 チャンスを無駄にした。でも、切り替え。

 相手がボールを投げた。

 明がボールを奪った。



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