〔完〕 うち、なでしこになるんだから
「ジュジュ。ジュジュ。」
満の声で珠理は気を取り戻した。
「ゴールキック(エンドラインの外にボールが出た時に、最後のボールに触れた選手が攻撃していたチームの選手だと、守っていたチームのボールとなって試合が再開されること)だよ。」
今のシュートがゴールに入らなかったことを、珠理は初めて知った。
良かったと思ったが、止められなかった悔しさの方が大きい。
「頭ポスト(ゴールの柱)に打たなかった?」
みずきが心配する。
「大丈夫です。」
心配をかけられて、少し照れる珠理。
そして、みずきからボールをもらって、ゴールの前に置く。
二・三歩後ろに下がって、選手の状況を見る。
――今のは、わざとはじいて、コーナー(キック)になってもいいから、外に出せばよかったな。――
今の思いを頭の奥に隠してから、少し助走をつけて遠くへ蹴った。
センターラインを越えて飛んでゆき、赤チームの足元に収まった。