〔完〕 うち、なでしこになるんだから
 このあとも、

「ジュジュさん違う!」

 っと、春世に怒られる場面もしばしば。他のチームメートにも怒られた。

 バンバンFC時代にも経験したポジションだが、あまりやったことがなかったからだ。

 珠理は春世を生意気とは思わない。むしろ怒られて当然と思っている。


 ゴールキーパー入れ替えで、ゼッケンを交換しているときのこと。

「ジュジュさん、生意気言って本当にすみません。」

 春世は申し訳なさそうな顔してる。

「いいのよ。久しぶりのポジションだし。
 キーパーばっかりやってたから、いい経験だよ。」

「いやあ、それでも。」

 生意気なことを言ってしまって、申し訳ない顔をしている。
 珠理はそれを察して、

「いいのよ、いいのよ。」

 春世が笑いをこらえている。

 たぶん、さっきの珠理の言い方が春世の笑いを誘ったようだ。

 珠理はうけ狙いで言ったわけではない。
 春世の姿に、かつての自分を重ねて、今の春世の気持ちが分かっているから慰めているのだ。



< 76 / 213 >

この作品をシェア

pagetop