クールな彼が好きすぎて困るんですが!!
「山田くんに会いに来ました!」
「…あぁ、はいはい」
はいは一回って言ったじゃないすか旦那…。
「……それ、何?」
へ?
山田くんが指差したのは、さっき受け取った男の子からの手紙。
あたしは山田くんを見上げ、笑って言った。
「手紙!男の子から頼まれたんだ。多分美喜ちゃんか六花ちゃん宛だと思う」
「……いや、思いっきり“立本柚希さん”て書いてあるけど」
………へい?
苦笑いを零す山田くんの視線を辿うと、少し崩れた文字が書いてあった。
“立本柚希さん”
………え、ま、マジで?
「…ありえんてぃ…」
「…アリエッティみたいに言わないでくれるかな」
「初めてもらいましたぞよこのような恋文」
「…もうツッコむの止めるね」
ええっ!それは寂しいですって!
と、目で訴えてみたがスルーされたので諦めました。
でも、ほんとにあたしへの手紙?
もしかしてまた先輩方の恨み買って、集団でリンチされるのでは……。
違う意味で緊張しながら、そっと封を開けた。
中身はシンプルな、白い便箋だった。
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立本柚希さんへ
入学してから、ずっと好きでした。
入学式の日、校舎で迷ってた僕を、柚希さんが見付けて案内してくださいました。
でも、なぜか柚希さんまで迷ってしまい、二人して校舎を駆け回ったのを覚えています。
あの時、お礼出来なくてすみません。
心細かった時、一緒にいてくれてすごく嬉しかったです。
先輩なのに気取ってなくて、親切なのにおっちょこちょいな柚希さんが可愛くて、僕は好きになってしまいました。
柚希さんに彼氏がいることは知っています。
でも、どうしても諦められなくて、こうして手紙を書きました。
これで、諦められます。
どうか彼氏さんと仲良くしてください。
ありがとうございました。
1ーC 小野田
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