GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「派手にしたもんだ…」



私たちは反対側の車線で、崩れ落ちる教会を眺めていた。



「兄上も鬼になると見境がつかなくなりますから…」



「そのようだな」



私の脇でそんな会話が交わされていた。



「ありがとうございました」



私は初めて、声の主の顔を見た。



怜悧な切れ長の瞳に端正な顔、後ろに撫で付けた黒髪。



「あ、貴方は…智成様??」



私を助けてくれたのは民間から帝家の姫宮に婿入りした人だった。



「…野次馬が増えて参りました…帝居に戻りましょう。智成様」

智成様のそばには小笠原さんと同じ銀色の髪の男性が立っていた。

「…彼は知弥の弟の滋弥だ…君も一緒に来るといい」






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