GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
ケルブの表情は悲痛だった…
「俺は親父に代わり…社長に就任した時…貴方を参考にさせてもらった。4000億と言う利益を出した…会社社長…早々出せる額ではない…でも、俺と貴方には大きな違いがある…俺には社長業は向いていない…陰陽師の方が性に合っている…」
凡人なら二者択一だが、ケルブはどちらでも完璧にこなすだろう。
陰陽もビジネスも…
ケルブを失えば、どちらの世界も大きな打撃を受けるだろうに。
「・・・」
「俺は吸血鬼…貴方の血を吸えば…貴方の強力な魔の力を複写できる」
「回りくどい言い方だな。素直に俺の血が欲しいと言えばくれてやる…相手は本物の神…真っ向から向かって勝てる相手ではない」
ケルブはキッチリと締めたスカーフを緩め、しゅると抜き取り、シャツのボタンを外した。