GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「君は八兵衛に売られたんだ…」



「売られた?」



「八兵衛とは幼馴染で家族同然だ。君は娘のように可愛いが…可哀想だが…これも私の仕事だ…心を鬼にして厳しく君にこの「吉原』の世界を教えるよ…君は八兵衛の借りた金を返して貰うまではここから出られない」



私は潜って来た門を振り返って見つめた。



私は父親の借りたお金を返済するために、ここで働くコトを余儀なくされた。






神居さんの貸座敷『夢楼』のお職・椿さんの禿(かむろ)として一歩を踏み出した。


11歳の春だった。



「わっちと同じ境遇か…」


キレイな紅い唇から煙管を外し、煙草の煙を吐く椿さん。


同性の私から見ても美しく艷やかだった。



「でも、わっちと同じでぬしも努力すれば必ず道は開ける…わっちもそう言われて、努力した…」


「はい」
私は椿さんの言葉を肝に銘じた。











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