GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「吉原は男にとっては桃源郷でしたが、女にとっては生き地獄の場所。目に見えない…深い淀みがありますよ。俺の知り合いの陰陽師を紹介します。吉原に入る前に祓いをしてもらった方がいい」




「陰陽師?」



「彼は陰陽庁御用達の優秀な陰陽師ですから、安心して下さい」



「・・・」



皇刑事から渡された名刺は『(株)小笠原酒造』代表取締り役・小笠原知弥(オガサワラトモヤ)と書かれていた。


その名前には記憶があった。

俺が教育実習の学校の生徒だった。

銀色の髪に紫色の瞳そして彫りの深い顔…



「表向きは酒造メーカーでは有名な会社ですが、小笠原家は古き時代から陰陽の世界では活躍する家系です…あの歴史的に有名な安部晴明様の直系の後継者を妻に迎え…今では陰陽の世界ではトップです」



そう言えば、あいつはテレビで出ていた有名な少年陰陽師だったな。


< 88 / 264 >

この作品をシェア

pagetop