君の隣で夢みた未来
私は車を傍らに止めて、煙草に火をつける。


手には携帯を持ち、画面を何気なく触ってメモリを呼び起こす。


通話ボタンを押して、コールを聞く。



『…もしもし』



耳に届いたのは圭介の声。


心なしか元気が無いように思う。



「今、平気?寝てた?」


『ううん。平気。どうしたの?』


「いや…用はないんだけど…」



どきっとした。


圭介の『どうしたの?』その一言にどきっとしてしまった。


いつの頃からだろう?


用もなくかけてバカみたいな話をしていたのは。


用がないとかけたらいけなかったかな?



「…勉強中だった?」


『……』


「勉強中だったら切るよ?」



無言の圭介の圧力に私の心が折れかけた時、微かに聞こえた。


圭介が私を呼ぶ声が。



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