君の隣で夢みた未来
‘好きだ’とか言われたわけではない。


だけど、何となくヒシヒシと感じるのだ。


《慕う》とは違う何かを。



『先輩、美咲さんと最近連絡取ってますか?』


「ううん。取ってない…かな」


『花火大会の日…あたし勝手に帰っちゃったから、また三人で遊びましょうね!先輩の受験勉強の息抜きにでも!』


「…連絡してみるよ」


『あ。じゃあ…勉強頑張ってください』


「ありがとう」


『また、連絡するんで先輩も愚痴とかあったら連絡くださいね。話くらいは聞けるんで』



きっと精一杯の言葉だったのだろう。


電話の向こう側からでも、緊張していることが伺えた。


それが、少しだけ可笑しくて笑ってしまった。



「じゃあね」


そう言って俺らは電話を切った。



< 494 / 496 >

この作品をシェア

pagetop