横で眠る「あなた」【未完】
第15章
恵子とお昼ご飯を食べていると、健二が「今日から工芸室にくるよ。」と言うから、「何で、健二が知ってるの?」って聞くと「先輩が、姉ちゃんに、明日から行くって弟に伝えろってさ。俺は伝書鳩じゃねぇ。」と怒って歩いて行ってしまった。
それでも、健二には感謝している。
本当に、登下校をずっといっしょにしてくれた。

健二の彼女には、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
彼女は、他校の子だから登下校も叶わないというにね。

でも、とってもできた子だから、わかってくれてるって健二はいうけど、きっと我慢してると思うんだ。
だから、健二にお世話になったお礼に、彼女にスイーツをあげるつもりでいる。

放課後、理先輩が現れた。
10日ぶりだけど、もっと長く会ってない気がして、涙が出てしまいそうになった。
「お葬式、大変でしたか?」と声をかけると「そうだね。たくさん、人がきたからね。」と理先輩は答えた。

「お祖父さんには、ちゃんとお別れ言えましたか?」と聞くと「大丈夫。ちゃんといえたよ。」言ったので安心した。
沢山の人が来るお葬式は、時として親族がちゃんと別れをできずに終わってしまうお葬式があることを、私は生まれ育った環境から知っていた。
だから、理先輩が、ちゃんとお別れできたと言ってくれて、心から安心した。

「理先輩。先輩がいない間に、先輩に聞きたいことができました。」と言うと理先輩は、「それは何?」と聞いてきた。
「理先輩のお母様は、伊集院の出身なんですか? そして、今回亡くなられたお祖父さんって、伊集院の会長さんなんですか?」と聞いた。

理先輩は、「そうだよ。きみは、今までそういう事何も知らずに僕とつきあってたの?」と聞いてきた。
「はい。何も知りませんでした。工芸室に来れないと、友人から伝言を受けた日に、その友人が教えてくれました。それまでは何も知りませんでした。
そういうことを知ってないと、つきあえないと言うなら、理先輩のことを好きになっちゃたけど諦める努力をします。」と私は言った。

理先輩は、いきなり私の腕を引き、抱きしめ、「誰が、諦めろって言った? ずっと、僕だけが好きだと思ってんだぞ。やっと、これで、お互いの気持ちが通じあったんだ。」「こんなに嬉しいことはないだろう?」と言った。

そして、理先輩は、自分の生い立ちはちょっと複雑なこと。
いずれは、ちゃんと話す約束してくれた。
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