横で眠る「あなた」【未完】
第19章
次の日、お弁当を持って、バイクで遠出をすることになった。
奏先輩も理先輩も、別荘までバイクで来ていた事に、初めて気づいた。

恵子が、奏先輩の後ろに乗り、私が理先輩の後ろに乗った。
バイクに乗ること自体が初めてだったし、しかも男の子の後ろに乗るのも初めてだった。
「太ももでバイクを押さえて。手は僕の腰の辺りを持って。怖い時には、とにかく身体を、僕に預けて。いい?」と教えてくれた。
そして、「身体をあまり、動かさずに、荷物のように乗ってて。」とも言われた。

乗り方はわかったけど、理先輩との距離は近すぎるような気がして、どうしようもなかった。
恵子は、奏先輩との距離は気にならないのだろうか?

しばらく、走ると高原に出た。
そこで、バイクを止め、少し奥へと歩いた。
そこは、高原がいくつも綱っがている風景を眺めることができた。
そこに、腰を落とし、お弁当を食べることにした。
サンドイッチと軽いおかずだったが、この景色の中で食べたせいで、とても贅沢な物を食べた気がした。

恵子に「奏先輩の後ろで、緊張しなかった?」と聞くと「自転車の後ろに乗せて貰ったこともあるしね。緊張しないよ。」と言った。
私は改めて、それが、恵子にとっての奏先輩がなんだ。と思った。
そして、「理先輩なら緊張する?」とも聞いてみた。
「しない。理先輩も、私にとってもう1人の<お兄ちゃん>だからね。」と恵子は、言った。

そして、「お兄ちゃんに緊張する妹って、いないでしょ?」と聞いてきた。
確かに、そんな話は聞かない。
「恵理子が、理先輩に緊張するのは、好きだから。それで、いいんだよ。」と笑ってくれた。
なんだか、恵子のその一言で、ホッとした。これで、いいんだって。

昨日の夜のキス、バイクでの距離。
あまりに、急速過ぎる気がして、私は追いついていけてなかっただけだった事に、やっと気がついた。
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